大判例

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東京高等裁判所 昭和53年(ネ)15号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

【説明】

最高二小判昭48.11.16民集二七巻一三九一頁は、手形裏書の原因関係たる実用新案実施権許諾契約が無効である場合について、約束手形の裏書を受けた手形所持人が裏書の原因関係である法律行為が無効であるにもかかわらず、手形を所持していることを奇貨として振出人に対し手形金の請求をすることは、特段の事情のないかぎり、権利の濫用として許されないと判示した。割引金不交付の場合については、東京高判昭45.9.22判時六一二号八四頁が本件とほぼ同旨の判示をしている。

【判旨】

以上に認定した事実によれば、本件手形は被控訴人が本件名義貸契約に基づき水野に対し振出交付したものであるところ、手形振出の前提たる山林売買は成立に至らず白紙に戻されたのであるから、水野は被控訴人の請求に応じ右手形を返還すべき義務がある。そして、水野から伊藤、伊藤から椎名、椎名から控訴人への本件手形の交付はすべて割引を目的とするものであるところ、いずれも割引金の交付がなされていないから、控訴人は椎名に、椎名は伊藤に、伊藤は水野にそれぞれ請求に応じ手形を返還すべき義務を負つているものというべきである。

右のとおりである以上、割引金の交付をしていない控訴人は、直接割引依頼を受けた椎名に対しては元より、振出人たる被控訴人に対しても手形上の権利を行使すべき実質的理由を欠くというべきである。それ故控訴人が右手形を所持しているのを奇貨とし自己の形式的権利を利用して振出人たる被控訴人に手形金の請求をするのは権利の濫用にあたり、被控訴人はその支払を拒むことができるというべきである。

(安岡満彦 内藤正久 堂薗守正)

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